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文字が読めるということは命を守ることになる。

− 本を出版するまでは具体的に、どんな流れで進めるのですか?

例えばカンボジアでは生き残っている作家やアーティストを私達が探し出して書いてもらったり、やる気のある学生を集めて「絵本」とは何かということからプロット、起承転結など物語をつくるノウハウを教えて実際に絵本を書いてもらうことからはじめています。ですから、一冊の本として形になるまではかなり、時間もかかりますよ。

− とても根気のいる地道なプロセスですが、文化を継承し存続させていく為にはとても大切なことだし、人が育つ過程の人格形成において重要な支援だと思います。

例えばカンボジアでいうと日本とは逆でお年寄りが少なく20代未満の若者が多く生き残っている現状なので、意識的に残そうとしなければ本来、お年寄りから若者へ伝えられる伝統的な民話や寓話、昔話などが形にして残らなくなってしまうんです。こういった文化を残していくことも図書館事業の一つの側面といえますね。

絵本読みの様子

− 長年に及ぶ活動の成果もあって現在では、読み聞かせを行う図書館事業は各地でとても浸透していると思いますが、衣食住がままならない段階の人たちに教育の重要性を説くというのは、最初はとても難しかったんじゃないでしょうか?

そうですね。例えば私が印象に残っているのはプノンペンから100キロほど離れたコンポンチュナンというところの小学校に本を届けていた時のことなのですが、ある時、小学校の脇の草むらでガサガサと音がしたので蛇かなと思って除いてみたら人の足が見えたんです。

ビックリしたのですが、そこには男の子とその母親が寄り添うようにしていて、聞くと子供が腹痛だったので山で薬草を取って煎じて与えたりしていたらしいけど一向に良くならないので自分の村から町まで数十キロの道のりを歩いて医者に診てもらいに行ったそうなんです。ところが、帰り道にまたしても腹痛になってしまって、しかたなく安全そうな学校の脇で休んでいるという状況の親子に出会ったことがあるんです。

− 病院などの施設が壊されてしまっているから仕方ないとはいえ、すごい状況ですね。

それで何か出来ることがあったら言ってくださいと伝えたら彼女が何やら紙切れを出してきたんですね。そこにはお医者さんからまた、痛みが出たらどうしたらよいかが書かれていたのですが、子供はもちろん、彼女も文字が読めないからこれを読んでくれと言われたんです。

鎌倉幸子さんとカンボジアの子供たち

− そうか、文字が読めないということは、そんな状態にもなってしまうのか。まさに生きていくうえで必要な人間としてのインフラですね。

そうなんですよね。その時改めて教育を受けるということは自分の身を守ることに繋がるんだということに気づかされました。実際に他でも字が読めないことから良く分からない契約書にサインさせられてお金を取られたり、地雷に気をつけてという文字が読めなくて事故に合いそうになっている人がいたり、酷いものになると騙されて子供を売られたというような事件もたくさんあるんです。でも、本当はそういった有事になってから始めて教育の重要性に気がつくのでは遅いんですけどね。

− 私達は義務教育などを通じて皆がある程度の教育を受けてきているので当たり前のように感じているけど、戦争によって文化や教育を奪われるということはそういうことに繋がってしまうんですね。

確かに現地でも農村の人たちの間には畑を耕すことだけ出来れば文字が読めなくても良いと思っている人たちもいますが、スラムに住んでいるお母さん達にお話を聞くと、何かを学んで商売をするとか、どうにかこの負のスパイラルから抜け出さなくてはという思いはあるんですよ。でも、スラム自体が違法なところなので学校を建てられるわけでもないし文房具が手に入るわけでもない・・・ここは大きなジレンマですね。

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