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たとえ、どんな形でもチャンスは自分でつかむもの

― 大学に入ってから仕事を始めるまでは、日本のようないわゆる「就職活動」があるわけじゃないと思います。どのような経緯で映画の世界へ足を踏み入れていったのですか?

まず、私の中に合ったのは3年間貯めた自費で来ているから、アメリカにいつまでいられるかさえ分からない状態なので早い段階から出来ることは何でもやってやろうって思っていたんですね。

アメリカでは冬休みや春休みの時期にはいろいろなところでステューデントフィルムのプロダクションがやっているんです。そこでは無給のボランティアなのですが、スタッフを募集しているので、とにかく映画に関わりたいと思っていたのでコミュカレの頃から休みの時期はほとんどやっていました。

― 当時の日本と比べるとまず、学校がほとんどないし、学生が機材を手に入れること自体も難しいから大きく違う環境ですね。

そうなんです。ロスの良いところは、やはり映画のメッカですからプロダクションも多いので学生が機材を手に入れやすいんです。それからプロの映画関係者も時期によって暇をしている人もいるので手伝ってあげたりしています。中にはUSC(University of Southern California)のような有名校では学生作品でも、わざわざプロを雇って製作している所もあります。

― 学生のうちから、機材だけでなく業界人に直接、触れる機会があるというのはすごく大きなチャンスですよね。ただ、そこで得たチャンスをどう活かして繋げていくかはやはり、個人の力になるので留学生にとっても大変だと思いますが。

日本のように就職活動を行うわけではないですから、まず、自分が何をしたいのかっていうことを決めて常に周りの人や新しく出会う人に自分のやりたいことを伝えていくことが重要だと思います。私の友人や現在もこちらで活躍されている人達に聞くとほとんどが、こうしたやり方でチャンスを得ていますね。待っていても何も始まらないですから、ネットワーク作りというのは仕事を得る為にはとても大切だと思います。

― そういったネットワークづくりをして行く中で、日本人であることや女性であること故にハンディキャップを感じたりする部分はありませんでしたか?

もちろん、英語でのコミュニケーションなども含めて多少はありましたよ。でも、それを考えたらきりがないですから、たとえボランティアでもチャンスがあれば他の人の何倍も一生懸命まじめに仕事をやるとか、他の部分で補うことで認めてもらうように努力はしました。時間はかかるけど、そうやって周りを認めさせないことには仕事に繋がらないですから。

― こういった部分は日本人にとって苦手な部分かもしれませんね。映画に限らず何かの世界を志してもこの段階で挫折してしまう人がたくさんいるというのも頷けます。やはり、最後はその人の仕事に対する思いというか、信じてコツコツとやり続ける才能なのかもしれませんね。では、実際に業界へ直接入るきっかけはどんなかんじだったんですか?

私が最初に声をかけてもらったのはベルナルド・ベルトルッチ監督の「リトルブッダ」という作品なんです。カレッジに通っていた頃に一緒にやったことのある友人がこの作品に参加することになっていたのですが、そこからたまたま、編集のポジションが空いているという情報を貰ったんです。普通、映画は撮影を開始する時点で編集のクルーが決まっているモノなんですが、この時は監督がいつも使っている女性の編集者に幼い子供がいて撮影地のネパールに来れないからということでポジションがちょうど空いたんですね。

― すごいチャンスですね。でも、いきなり、知らない日本人が行って仕事を貰えるものなんですか?

もちろん、いきなり行ってもお金を貰えはしません。私がどうしようか考えていた時にエディターが前年度に「JFK」でアカデミー賞を獲ったピエトロ・スカリアさんという人に決まったんです。それまで普通、編集スタッフは年配の人が多かったのですが、彼はまだ当時、20代後半ということもあって彼にもとても興味があったので、その話を聞いてとりあえず、行くだけ行ってみようと決めたんです。

― 仕事に繋がるかどうかも分からない状態なのに実費でネパールまでですよね!?

はい(笑)友人が少し言っておいてくれてたみたいだけど、実際には現地のスタッフも本当に私が来るとは思っていなかったから、ネパールまで来た時は驚かれましたね。でも、「お金はいらないからとにかく働かせてください!」とお願いしたら、なんとかアシスタントとしてスタッフに入れてもらえたんです。

― なんという行動力!すごい話ですね、なんかのテレビ番組みたい(笑)

でも、これが私のキャリアの始まりなんです。私にとって運が良かったのはピエトロさんもこの作品から独立して編集者としてバリバリやっていくところだったから、クルーがまだ誰もいなかったんです。それで、アシスタントのポジションを得られることになって、それから後の十数年は彼のもとでアシスタントでしたから次から次へと仕事が舞い込んでくることになりました。

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