«前へ  [  1  2  3  4  ]  次へ»

相手の文化に理解を示すことで受け入れてもらえた。

― レースやフラメンコなど様々な経験をされながら大学を卒業されたわけですが、卒業後はどうされていたんですか?

車のレースをやっていた時にお世話になった冠スポンサーの会社で6年間仕事をやっていました。でも、その間もフラメンコの仕事は両立させながらやっていましたから、今思うとかなり、スケジュール的には大変なことになっていましたね(笑)

― 仕事が終わってからレッスンをやったり、ショーに出たり、舞踊団のステージに立ったりしていたってことですよね?それは大変でしょう。

会社の仕事は、就業時間中にと心がけて全力を注いでいましたが、私の中の意識としては踊りは自分にとってメインの事柄で、特に大切なものという感じでやっていましたね。ただ、今となっては会社員をやった経験は社会性が身につき現在のスタジオ運営にすごく役立っているので良かったなって思っています。踊りだけやっていたら本当に何も分からなかったと思うし。

― その後、会社を辞めてスペインへフラメンコ留学をされるわけですが、踊りを習う上でコミュニケーションは必要だと思いますが、スペイン語の学習はどうされたんですか?

#

とにかく会社員時代には独学自己流で良く勉強をしていました。自分でやってどうしてもわからない段階に入り、そこで初めて学校に行ったり、一緒にショーに出ているスペイン人に聞いたりして覚えていましたね。

― スペインに渡るきっかけというかタイミングは何かあったんですか?

それまでにも舞踊団の公演やプライベートで何度もスペインには足を運んでいたのですが、ある時にスペインのセビリアに住んでいる日本人の友達に「私に合う先生がいるからこっちに来な」って言われたんです。そこであったのがミラグロス・メンヒバル先生という舞踊家なのですが、この出会いが衝撃的で1ミリも狂わずこの人の踊りをマスターしたいって思うぐらい憧れてしまったんです。

― そんな風に思える人に出会えるなんてすごい。よほどの出会いだったんですね。レッスン自体は個人レッスンだったのですか?

最初は、私のほかに2人いたのですが、その後はレッスンの場所も先生のお家だし、ほとんどプライベートですね。その分、レッスン代も驚くほど高いんですが・・。でも、当時の私は大勢の中で一般のレッスンをやるのではなく、「私自身の踊り」というものを追求する時期に入っていたので覚悟して毎日通っていました。

― その後、スペインでも伝統あるラ・ウニオンのカンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティ バルのコンクールなどに参加されて日本人初のセミファイナリストとなったり、現地での公演機会も増えていくわけですが、スペイン人の前でフラメンコを踊るというのはどういう感じなんですか?

まず、彼らの中で外国人が踊るものに対しては「スペイン人じゃないのに上手だね」っていうスタンスなので本当の意味で受け入れられるというのは、正直、あと100年ぐらいしないと難しいかなって思います。

#

― 確かに、逆のパターンで能や日本舞踊を外国人がやっても違和感は少なからず残りますからね。では、そういったある意味、アウェイの環境下で評価を得ていく為にどういった工夫をされましたか?

例えば、着物を着ているような動きなど日本の舞踊的な動きってあるじゃないですか。もう何十年もフラメンコをやっているのにとても悔しいんですが、モノマネ感覚でああいったエッセンスをやるほうがフラメンコを習得するより、はるか簡単になんとなく様になってしまうのです。あとは、コンクールなんかでは逆に今流行の超モダンなスタイルで競うのではなく、古き良き伝統的なスタイルの踊りをやると評判が良かったですね。

― なるほど。最新の流行りの事を取り入れたフラメンコではなく、まず、日本人だけど伝統を理解して基本的なことを忠実に出来るぞっていうところを見せると。

そうなんです。私がコンクールで踊ったのは「シギリージャ」という曲で、あまり今ではやらないバタ・デ・コーラにカスタネットという、とても難しいスタイルの曲なのですが、これをやったときはものすごく良い反応を感じました。踊った翌日に街を歩いていたら屋台で男の子に声をかけられて「きみ、日本人だろ?昨日、最初に踊った子がすごい良かったってみんな言っているよ。僕は見ていないんだけど、もしその子を知っていたらありがとうって伝えてくれ。ホント、オーレだよ。」みたいなことを言われたんです。その後は見ず知らずの人でも会う人会う人に何度も同じようなことを言われるんですね。

― うーん、とても温かくて懐が深いというか、スペイン人ならではの気質を感じるエピソードですね。

確かに彼らは自分たちの土地や文化に誇りを持っていますからある意味、保守的なんです。でも、きちんとその部分の理解を示すとこっちが思っている以上の反応が返ってくるっていうのは自信になりましたね。

«前へ  [  1  2  3  4  ]  次へ»
Earth Interview01 三國清三 Earth Interview02 小菅優 Earth Interview03 舘野真知子 Earth Interview04 須藤生 Earth Interview05 田邊淳司 Earth Interview06 吉良さおり Earth Interview07 平富恵 Earth Interview08 横山智佐子 Earth Interview09 HIDEBOH Earth Interview10 高木康政 Earth Interview11 板倉由未子 Earth Interview12 CHISATO Earth Interview13 門田瑠衣子 Earth Interview15 桂かい枝 Earth Interview16 中島央 Earth Interview17 鈴木岳 Earth Interview18 廣川まさき Earth Interview19 大澤亮 Earth Interview20 高良結香 Earth Interview21 佐々木裕子 Earth Interview22 トシバウロン Earth Interview23 サンドラ・ヘフェリン Earth Interview24 岩井孝夫 Earth Interview25 井原慶子 Earth Interview26 喜井豊治 Earth Interview27 木全ミツ Earth Interview28 梅若ソラヤ Earth Interview29 中島央2 Earth Interview30 大山光一
TOPへ