Earth Interview29 中島央
アメリカ映画『Lily』(2011年)でハリウッド日本人監督として鮮烈なデビューを果たした中島 央監督の待望の最新作!!! 『シークレット・チルドレン』が完成!FOX・NTTぷらら・アイキャスト、3社による「アメリカ映画共同製作プロジェクト」と名付けられ、世界中から待望されていたプロジェクトは、いったいどのように生まれてきたのか?作品創りや作品制作秘話などをもとに、アースタイムズ代表・須藤茂との対談をお送り致します。
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異質なものを認めよう。それが表現された映画。

― 中島監督、お久しぶりです!遂に最新作『シークレット・チルドレン』の公開が迫っていますね。今回の作品はどのようなあらすじとなっているんですか?

お久しぶりです。近未来の世界を舞台に、人間の手によって作り出されたクローン人間「シークレット・チルドレン」を描くヒューマンドラマとなっています。「クローン廃絶運動」を機に、生み出されたクローンは徐々に絶滅の危機に瀕していくわけですが、そんな彼らのそれぞれの想いや生き残りの道を模索していく姿を描く群像劇です。

Earth Interview29 中島央
「シークレット・チルドレン」公式サイト

― 前作『Lily』ではラブストーリーを主題としていましたが、今作は全く違う世界観ですね。新作『シークレット・チルドレン』は、前作『Lily』の後、どういった経緯から完成したのか教えていただけますか?

前作『Lily』が終わった後、ストーリーを10本くらい書いたんですね。それぞれの作品は構想程度のものではあったんですけど、今作の『シークレット・チルドレン』もその中に含まれていました。完成作品は、結局、最初の構想とは全然違う作品になってしまいましたが、その時点で、二人のクローンが登場する設定は既に出来上がっていました。その時点では本当、妄想程度のものでしたが。そんな時に、ジョージ・オーウェルの「1984年」を読む機会があったんですが、その物語に心の底から感動したんです。その時に、なんとなく中島央バージョンの「1984年」を作りたいなぁって思いました(笑)。

― ということはジョージ・オーウェルの「1984年」がかなりのきっかけになっていたんですね?

そうですね。独裁政権下の中で恋人同士が出会って、レジスタンスとして戦っていくっていう設定は大きく影響を受けていると思います。ちょっとずつ脚本を作ってみたんですけど、最初は「1984年」の劣化版見たいのができちゃいました(笑)。これはまずいなぁなんて考えていたんですね(笑)。その後、クローンが排除されていくという世界観のアイデアに加えて、レジスタンスの視点だけを描くのではなく、クローンを追いかけている政府側の視点、人間になりたいクローンの視点など、多くの登場人物の観点から描いた群像劇にしたほうが面白いのではないかと発展させていった結果、完成作品の物語に辿り着きましたね。

Earth Interview29 中島央

― なるほど!では「1984年」がきっかけではあったけど、そこに中島央監督のオリジナリティを付け加えていったのですね。

はい。あとはやはり2011年の震災の影響が大きかったですね。日本人として、誰もが「生死」という事をかなり考えさせられたと思います。

正直、僕も日本人として色々と思う事はありましたし、日本人全員が何かを感じたと思います。そんな「生死」を身近に感じている時期にラブストーリーを作っている気分にもなれませんでしたね。何か「生死」に関して訴えかけたいものが出てきました。

― 中島監督としても「ヒューマンドラマ」を通じて表現したいと思ったんですね。

はい。あとは他に色々と考えさせられた点といえば、いじめ問題です。ここ数年、いじめに関する報道が増えたじゃないですか。大きい事件になったケースもありますし。僕は、いじめが大嫌いなんです。報道を聞いた時は本当に許せなかったんです。

― かなり大きく報道してましたからね。いじめ問題はどのような点で今回の映画へ影響があったのですか?

いじめ問題で一番感じたのは「異質なものは認めない」ということ。特にいじめがなかったかのように後始末をしていたなんて事実もあったという報道は、特に酷いと思いました。もしかしたら、そういった点で今作のクローンを、異端な物の象徴として描いている事に繋がっているかもしれません。

― なるほど。では今回の映画の元になるようなきっかけとして、ストーリー感は「1984年」、「人間の生死」に関しては震災、「異質なものを認めるべきではないか?」という点に関しては、いじめ問題があったわけですね。

そうですね。特に「自分達と違う異質なものを認めない」という点が大きなテーマかもしれません。昨今、世界で起きている事は全てそれが原因だと思っています。国家間の問題、戦争、宗教もそうだし、当然、個人間で起きている問題も。例えばニュースでも報道されていますが、日本は大学を卒業していないと就職率が著しく低下しているようです。個性を認めないという点でこれも同じだと思います。

Earth Interview29 中島央

― 今の時代性の一部を切り取ってメッセージを生み出すこと、今回で言えば「1984年」や震災、前回のインタビューでもおっしゃっていましたが、「異質な事を認めるべき」という中島監督のアイデンティは今回の映画にも大きく影響されているんですね。

もちろん実際に映画を撮影している渦中では、「これが自分のアイデンティティなんだ!」とか、気張って意識はしてないですよ(笑)。ただ、結果的に完成した映画を見ると、映画そのものを通してメッセージを送っているのだと思います。前回のインタビューでも話しましたが、僕は自由を縛られる事が大嫌いなんです。型にはまった方が楽だし、きっと教える方も型にはめた方が楽ですよ。仕事も上司に言われたことだけやっていればいいし。でも、それでは個性も何も生まれてこないじゃないですか。これは違うと思うんですよ。

― そうですね。前作品からも感じていますが、そういったところが中島監督節であり、中島監督の魅力的なことですよね。

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