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若い時こそ命懸けで「本物」を体験せよ。

E:帰国後、30歳で「オテル・ドゥ・ミクニ」をオープンされ、料理人、経営者としての道を歩まれるわけですが、 しばらくすると「ミクニフェスティバル」を海外の高級ホテルで開催されるようになりました。 なぜ、また、海外で活動を始めたのですか?

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僕が帰国した当時はバブル直前で1億総グルメといわれる、いわゆるグルメブームの時代だったんです。 今でこそ当たり前のようになりましたが、僕が作る料理はフランス料理といっても、それまでの型にはまったものではなく、当時では珍しい、 白菜や岩魚を使ったり、とにかくオリジナリティあふれるものがとても多かったんです。 なぜなら、僕の師匠であるジラルデさんがそうでしたから。ありがたいことにそれは多くのメディアで評価して頂くことになるのですが、 反面、国内の評論家や伝統を重んじる先輩たちからはあまり良く思われませんでした。そこで小さな世界を対象に考えるより、 僕は元々、海外の叩き上げできたわけだから、もう一度、今の自分の料理を海外で試してみようと思い立ったんです。

E:反応はどうでしたか?

最初はニューヨークの「ザ・キルテッド・ジラフ」だったんです。 日本人のシェフでそんなことをやった前例もなかったので僕自身もドキドキでしたが、蓋を開けてみたら大成功。 自分にとって自信を取り戻すことにもつながりましたね。それが話題を呼び、すぐに香港のペニンシュラホテルや 世界一の称号を持っているタイのオリエンタルホテルから声がかかり、おかげさまで現在に至るまで世界中の著名なホテルで開催してきました。

外観風景
オテル・ドゥ・ミクニ

E:担い手側が意図的に仕掛けて世界での評価をつけて逆輸入的に日本で認めさせるという手法はアートや音楽、 スポーツの世界などでは近年、見られる傾向ですが、それをいち早く取り入れた結果が現在の圧倒的な「MIKUNI」 ブランドに繋がっていますね。それから周囲の反応は変わりましたか?

はい。僕自身はもちろんなんですが、なによりも海外の多くのレストランやホテルで日本人の雇用が増えましたし、 今でこそ当たり前のようになりましたが、欧米の最前線で活躍する料理人たちが、味噌や柚子、 昆布などといったそれまでは考えられなかったような素材を使って新しい料理が創作される時代に移って行きました。

E:三國さんの料理はフレンチがベースですが、ジャンルの壁を越えた独創的なイメージがあります。 普段から意識していることはありますか?

おかげさまで、こういう経験をしてきたので現在もトップランナーで活躍されているシェフが世界中にいます。 やはり、世界の最先端に常にアンテナを張って、人がやらないことをやるっていうことを心掛けています。

E:このインタビューを読んでいる若い世代の人たちの中にも夢を追っている人ってたくさんいますが、なにアドバイスを頂けますか。

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若い時にたくさんの「本物」に触れて欲しいと思います。本物に触れるということは勇気がいることだし、 自分がニュートラルにならなくては受け入れることが出来ない。それはすごく怖いことなのかもしれない。 でも、本物に触れなくては本物にはなれないのです。僕は世の中に出る人っていうのは王様か奴隷しかいないと思っているんですね。 例えば料理でいえば王様はいつも美味しいものを食べている。そして奴隷は王様の御飯を命懸けで作っている。 まずかったら首を切られますからね。いずれにしてもこの両者に共通しているのは「本物を知っている」ということなんです。 僕の場合はどちらかと言えば奴隷だったので、いつも自分に逃げ道が無い状態で一皿一皿作ってきた。 ただ料理を作ることは誰だってできる。 だけど人に感動を与えるような一皿はこれしかないと命を懸けて生きてこなければ作れないものじゃないでしょうか。 それはこの世界に限らず、どの世界でも言えることですけどね。

E:今後の夢や、やりたいことってありますか?

レストランということでいえばトルツメ上海に出店するお話をいただいています。 それから、今、全国で子供たちと一緒に料理を作る「キッズシェフ」というのをライフワークとしてやっています。 これは40代前半の頃、とある番組の企画がきっかけで本物の素材を通じて次の世代に食の大切さや魅力を伝えていくことが 僕の使命だと思って始めたんです。最近になって、やっと「食育」とか「地産地消」という言葉が世間で叫ばれるようになり、 あれから10年以上の月日が経ちますが、今では自分に与えられた使命だと思って取り組んでいます。

E:最後に。今でもハンバーグを作りたいって思いますか?

もちろん(笑)。今日、お話したとおり、僕はハンバーグが作りたくてこの世界に入ったわけです。 キッズシェフでもかなりの割合でハンバーグを作ってますよ。昔のリベンジってことでね(笑)。

E:今日はありがとうございました。

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