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サッカーが僕を助けてくれた。

E:その後はいろいろなレストランに修業に行かれたんですか?

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はい。ジラルデ、トロワグロ、オーベルジュ・ドゥ・リィル、ムーランドムージャン、ロアジス、カメリア、アラン・シャペルと7つ、 全て3つ星ホテルを回ったのですが、中でもフレディ・ジラルデ氏との出会いは大きいですね。 ある時、「オテル・ドゥ・ヴィール」というローザンヌの山奥にあるレストランに変な料理人がいるという噂を聞きつけて、行ってみたんです。 これは言葉で説明するのは難しいですが、とにかく始めて食べた時は「これだ!」って思いました。僕のフランス料理のベースは間違いなく彼ですね。 ちなみに「オテル・ドゥ・ミクニ」の名は実はここが元になっているんです。

E:修業中に言葉の壁はありましたか?

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最初はすごくありましたが、僕が幸運だったのはサッカーをやっていたことなんです。

E:サッカーですか?

これは日本ではあまり知られていないですが、ヨーロッパの有名なレストランではほとんど、サッカーチームを組んでいるんです。 僕はずっと幼い頃からやっていたので毎回、レギュラーで試合に出ていたんですね。 そうすると重宝されて「新しいことを教えてやる代わりに試合で活躍してくれよ」なんて言われながら意外と仲間と打ち解けてうまいことやっていけたんです(笑)。

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自慢の一品:サッカー日本代表
岡崎選手のサイン入りボール

E:それは、おもしろいです。言葉も料理と一緒でやっぱり実践が重要なんですね。趣味とか共通点があれば言葉の壁は越えられると。

でも、もちろん、最初は厨房の中で怒られまくりましたよ。 例えばフランス語って英語に比べると複数形は(音だけ聞くと)言葉がかなり変わってしまうことがあるんです。 先輩に「オレンジをいくつか持ってこい」って言われているんだけど、なんとなく「オランジ」という言葉しかわからないから、 勘で1個だけ持っていって案の定、怒られたり・・・。でも、そうやって一つ一つ覚えていきましたね。

E:イタリアやフランスなどヨーロッパで料理の勉強をされる方って最初はジャガイモやニンニクなどの皮むきばかりでなかなか、 仕事を与えてもらえなかったり、わずかな収入さえ稼げずに帰国してしまう人も多いと聞きますが、三國さんはどうだったのでしょうか?

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僕の場合は決して流暢なフランス語ではないですが、新しいレストランでの面接の際には必ず、僕は学びに来たわけではなく、 戦力としてここで働きたいということを伝えていました。戦力なのだからフランス人と同様の仕事をするし、 それだけの給料を最初から要求するわけです。

E:「自分を売る」ってことですね。海外で生きていくうえでとても重要なファクターだと思うのですが、日本人が苦手な部分の一つだと思います。

確かに勇気もいるけど、最初から「勉強させてください」なんて言ったら、本当にタダ働きでうまく使われるのが落ちです。 ほとんどのお店では1ヵ月、様子を見たいといわれるのでその間に結果を出して認めさせればいいわけです。 なんだかんだ言っても実力の世界ですから。僕はそうやって全ての店でフランス人と同等かそれ以上の収入を取りました。 きっとそうやらなかったら7つもの3つ星レストランで修業することなんてできなかったと思います。

E:もちろん、日本での下積みと自分に自信があるからこそ言えることだと思いますが、 これから海外で働きたいと思っている人達にとってはとても参考になると思います。

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極端なことを言えば、せっかく、貴重な体験をしているのだから最前線で学ばなければ意味がないですよ。 僕が収入を取るということにこだわったのは、それだけ責任あるポジションを任されることにつながるからなんですね。 例えばソースの仕上げなどプレッシャーもあるけど、それが一番、仕事と店の味を覚えられるわけです。

E:先程、お話があった語学習得でもそうでしたが、スポーツの世界ととてもよく似ていますね。

僕の場合はサッカーでしたけど、サッカーに限らず他のスポーツでも試合中に選手同士でベラベラしゃべらないじゃないですか。 厨房も一緒でお互いにプロとして一つのゴール(結果)に向けて連携して仕事を進めていくのです。 これはもちろん、全世界共通だし、そういう意味では空気を読むというか1歩も2歩も先を読む力が求められますね。

E:なるほど。そういったセンスが磨かれれば、ある程度の言葉の壁は乗り越えられるし、相手を認めさせることが出来ると。

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はい。やっぱり、料理、特にチームプレイとなる厨房は待ったなしですから、間とか呼吸、 タイミングといったものが合わないとうまくいかないです。 ちなみに、現在、MIKUNIの厨房もサッカーと同様、11名体制で運営しているんですが、やはり、 それぞれがイマジネーションをもって取り組まなくてはお客様を感動させるような良い料理はできません。

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