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今年で25周年を迎える東京、四ッ谷の「オテル・ドゥ・ミクニ」のオーナーシェフでありながら、世界各国の超一流ホテルで料理フェスティバルや、子供たちの為の食育活動「キッズシェフ」を開催したり、最近では市川海老蔵さんの披露宴の料理を担当されたりと、その精力的でグローバルな活動は私たちをいつも驚かせる。
また2010年の今年「フランス共和国農事功労章オフィシェ」を受勲するなど、本国フランスにとどまらず、世界的な評価を得た三國氏が20歳で海を渡り、どのようにして夢をかなえてきたのか?アースタイムズ代表、須藤との対談をお送りします。
料理人としての原点
アースタイムズ(以下、E):こんにちは!今日は宜しくお願いします。
こちらこそ、宜しくお願いします。
E:今や世界を股にかけて活躍されている料理人というイメージですが、三國さんが料理の世界に入ったきっかけから教えてください。
僕は北海道の増毛(マシケ)という港町で生まれ育ったんです。江戸時代からニシンの漁獲がとても有名なところで、うちは父が漁師、母が農家を営んでいたのですが、昭和28年に漁獲量が激減すると辺り一帯の生活は一変して、僕が小学生の頃は父が手漕ぎ船で採ってきたアワビやウニ、昆布などを隣の留萌(ルモイ)の市場に売りに行くという生活をしていました。
E:小学生の時から働いてたんですか!?

はい。父を手伝いながら。当たり前だけど漁獲量が少ない時なんかは競りにも掛けてもらえないから毎回、全部をさばけるわけじゃない。それで、「もったいないなぁっ」って思っていたら近所のおばちゃんたちに「料理屋さんに持っていってみたら?」って言われて、試しに蝦夷アワビとかを持っていったら売れちゃったんです。
それから一個でも二個でも買ってもらおうと、料理屋さんの裏口に出入りするようになったんですね。雪が多く凍えるような北海道の冬に料理屋さんの裏口から奥をのぞくと、暖かくてとてもいい匂いが立ちこめて半袖で料理を作っている姿がカッコよくて、それがなんとなく小学生ながら憧れになったのが原点にあるんじゃないかなぁ。
E:なるほどー。では、それから料理人になるってすぐに決めたんですか?
うーん、というよりも中学校を卒業してから進学したかったんだけど、家の経済的な理由からその学年で僕ともう一人の友人だけが高校に行けなかったんです・・・。

そこで友人と話し合って親元を離れ、二人で札幌の米屋の二階に住み込みで丁稚奉公に行くことにしたんです。その時に将来を考えたら「料理人になれば学歴が無くても食いっぱぐれないだろう」と思い、昼は働き、夜は料理学校に通うという生活を始めました。
ハンバーグがカルチャーショックだった!
E:なぜ、洋食の道に?
丁稚奉公していた所には3人姉妹がいたのですが、そこの長女が料理好きの栄養士の免許も持っているお姉さんで、ある日の夕食にハンバーグが出てきたんです。これが衝撃的で、先程お話ししましたが、僕の家は半漁半農なので刺身とか野菜とか、素材そのもののシンプルな味は知っていますが、「すり身」というものをこの時、初めて食べたんです。しかも、黒いソースがかかっていて・・・。幼いころから山に入ってキノコを取りに行くと「黒いものは毒だ」って親から教わってきたから、目の前に出された時は本気で「毒だ!」って思ってビックリしました(笑)。
E:今の三國さんからは想像が出来ないですね(笑)。
でも、腹は減っているから背に腹は代えられない。「後で吐けばいいや」っていうぐらいの気持ちで恐る恐る、口に運んでみたんです。すると、今度はソースが甘酸っぱい味で、またビックリ(笑)!甘いとか酸っぱいとかの味はわかるけど、それまで、いわゆるミックスされた味というものを知らなかったからものすごいカルチャーショックを受けたんだよね。それで、「これだ!」って思って僕はハンバーグを作る料理人になろうって決心したんです。
E:世界の三國の原点がハンバーグだったなんて意外です。
それから、お姉さんにハンバーグを作るなら何処が良いかを聞いたら「そりゃあ、札幌グランドホテルよ」って言われたんですね。それで、「よしっ!」と思うんだけど当然、北の迎賓館といわれるようなその当時、札幌でも超一流のホテルなので中学しか出ていない僕なんか雇ってもらえるわけがない。でも、どうしても一流の味を学びたい・・・。
E:それでどうされたんですか?
ちょうど調理師学校の卒業の時期に札幌グランドホテルでテーブルマナーの研修があったんです。みんなでぞろぞろ回る厨房見学の時に、僕は一人、洋食の厨房にずっと隠れてチャンスを伺ってたんです。その時に偶然、青木さんというホテルの方が通りかかって「ここで働かせてください!ここじゃなきゃダメなんです!」って直談判をしました。
E:16歳ぐらいですよね?すごい行動力です。
向こうも最初はびっくりしてましたね(笑)。でも、家の経済事情や当時、陸の孤島といわれる増毛から出てきてからのことを話したら、向こうも根負けしたのか、「よしわかった。まかないを作るパートのおばちゃんのポジションだったら学歴もいらないから、どうだ?」と言ってくれたんです。もう、潜り込めれば何でも良かったので二つ返事で翌日から働くことにしました。
























