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地球上に問題は山積み!自分の目で見て感じたものを伝えていきたい

― これまで様々な旅や冒険をされていますが、旅自体はいつもけっこう入念な計画を立てて行かれるんですか?

はい、一応、計画は立てます。でも、実際に起こることは計画通りかっていうと事前に考えたことは良い意味で、いつもことごとく裏切られるのでほとんど思った通りにはいかなかったです。ただ、人との出会いとかも含めてそれが逆に旅を面白くしてくれると思うし、人生って人に影響を与えられて変わっていくものだから、海外にいるとそういうことをとても感じます。

Earth Interview19 廣川まさき

― これまでの作品の中でもすごく人との出会いを大切にされているなっていうのを感じたのですが、廣川さんの中で異文化コミュニケーションをする中で気を付けていることって何かありますか?

気を付けていることがあるとしたら私はそんなに英語がうまいわけじゃないので、下手なりに自分の言いたいことや伝えたいことはきちんと伝えるとか、相手の気持ちや考えていることを丁寧に感じ取っていくようにはしています。そうすると相手も逆にそういう姿勢になって聞いてくれますしね。個人的にはそんなに英語がうまくない方が余計な情報も入ってこないし、あんまり上手くならなくてもいいなって思っています。

― 確かに言葉というのは意思疎通の為のツールですからね。発音や文法など形式に捉われないで心を通じ合わせるっていうのはコミュニケーションの基本だと思います。廣川さんは世界中、様々なところに出かけていますが、作家として伝えていきたいテーマみたいなものってあるんですか?

毎回、自分の中のテーマは違うんですけど、一貫して持っているのはリアリティというか、現地に行ってみて感じる感覚みたいなものですね。今はインターネットやテレビ、雑誌で情報が得られる時代ですけど、やっぱり、それらは表面的な情報ばかりで、現地に行って人や自然と接してみないと分からないことや感じられないことってたくさんあると思うんです。そんな「生きた感覚」を少しでも自分の言葉で伝えていきたいです。

― 確かに実体験を通じて得たものは仮想現実の世界で得るものとは全然違いますからね。その点では最近、若者が海外離れしつつあるって言われているのとかすごく残念だなって思います。

この間、ケニアのスラム街に行ったんですけど、水や食べ物が足りていなくて子供達はお腹がぽっこり出てしまって栄養不足になっているんです。そんなところで必要なのは食べ物や着る物や教育だって思われがちなんだけど、それ以前に愛情が必要なんですよね。一緒に遊んであげるとか、思いっきり抱きしめてあげるとか。その場にいるとものすごくそれを感じるんです。これは、私達が生きている先進国の状況とはやっぱり、全然違うし現地に行ってみないと分からないことだなって思いました。

Earth Interview19 廣川まさき
ケニアでの様子

― 何処の国でもいいけど、若い時に世界を見た方がいいっていうのはそういうことを通じて社会や自分たちが生きている世界に問題意識を持てることが自分を成長させてくれるし、本当にやりたいこととかを見つけるきっかけにもなるからなんですよね。今、これを読んでいる人達の中にはまだまだ将来が漠然とされている方もきっと多いと思います。これから海外に出てみようかなと思っている若い人たちに何かアドバイスを頂けますか?

海外にいるとたまに、せっかく海外に来ているのに日本人同士で「日本が嫌だ」ってまるで悪口みたいに言っている子たちを見かけることがあって、なんかすごく残念に思うことがあるんです。私は海外に行く理由は別にはっきりした目標とかが無くてもいいと思うんですね。仮に現実逃避であっても良いと思うし。でも、せっかく一歩、外の世界に出たなら一旦、頭を切り替えて新しい世界にどんどん入って自分なりの興味があることを探していってほしいと思います。そのうち、これまで見えていなかったことがたくさん見えるようになるから。そして出来れば海外から逆に日本の良いところを見つけてどんどん周囲に教えていってほしいですね。

― 最後に廣川さんの今後の構想とかプランみたいなものがあれば教えてください。

うーん、大きな括りでは老後の楽しみとして牧場をやるっていうのはありますけど(笑)。身近なところでは一冬、犬ぞりに乗って過ごした時の話とか、さっきのケニアの話とかをまとめて、発表していけたらと思います。やっぱり、海外に出ていろんな人たちと関わると、もどかしいなって思う問題がたくさん見えてくるじゃないですか。だからこそ、少しずつでも何か自分自身で関わっていけることをやっていきたいですね。

Earth Interview19 廣川まさき

― 日本にも世界にも問題は山積みだけど、まずは出来ることから行動して自分自身を含めて現実を知ることからですね。

またカヌーのたとえになっちゃうんですけど、川の上で流れているとあまり先のことまでは見えないんですよ。でも、流れの中にいることは確かなんで、いかに先を見据えて的確な判断をして流れを読むかっていうのが大切になるんです。そんな感覚で一つ一つの出会いとか感じたことを大切にしながら自分の気持ちに正直に良い流れを見つけていけたらなって思っています。

― 今日はどうもありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。

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廣川まさきさんオフィシャルホームページ

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■ ニュージーランドでの牧場生活の様々なエピソードが読める『今日もまき場にすったもんだの風が吹く』ナショナルジオグラフィック日本版で好評連載中。

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■ 開高健ノンフィクション賞受賞作『ウーマンアローン』

■ 集英社刊 『私の名はナルヴァルック』

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